
むさし先生、実家に広い土地があるんだけど、ずっと使ってないんだニャ。
有効活用方法として、「太陽光発電」がいいって聞いたんだけど、どうなんだニャ?

こじろー君、それは良い相談だね!田舎の遊休地の活用方法として、太陽光発電は確かに注目されているよ。でも、メリットもあればデメリットもある。
今回は、太陽光発電による土地活用のポイントを詳しく解説するから、一緒に見ていこう!
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はじめに|田舎の土地活用と太陽光発電の可能性
山林や耕作されていない農地など、田舎に広大な空き地をお持ちの方にとって、「土地活用」は大きな課題です。特に、市街化調整区域内の土地など、賃貸住宅や商業施設の建設が難しい場合、その活用方法は限られてしまいます。
そこで注目されているのが、「太陽光発電」の導入です。2012年の固定価格買取制度(FIT)の導入をきっかけに、太陽光発電は急速に普及し、今や日本全国で屋根上や空き地に太陽光パネルが設置された光景が珍しくなくなりました。
太陽光発電は専門知識が必要で大きな投資が必要なイメージがあるかもしれませんが、この記事では、太陽光発電を設置した土地活用の手法や収益化の仕組み、設置するメリットとデメリット、そして成功のための注意点について解説します。遊休地の活用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電経営とは?種類と収益化の仕組み
太陽光発電経営は、太陽光パネルを設置して発電した電力を、送電網を介して電力会社に売却することで収益を得る事業です。
太陽光発電の種類
太陽光発電は、大きく分けて「住宅用」と「産業用」の2つに分類されます。
- 住宅用: 出力10 kWh未満と定められており、主に個人宅の屋根に設置する小型の太陽光発電設備を指します。
- 産業用: 10kWh以上の発電出力を持つもので、店舗や工場などの大型施設の屋根や、耕作放棄地などの遊休地、山林などを切り開いて開拓した土地などに設置された大型の太陽光発電設備のことです。 産業用の中でも、1000kWhを超える大型の発電設備は「メガソーラー」と呼ばれます。
発電事業の形態
発電事業の形態としては、「自営方式」と「土地貸し方式」の2種類があります。
- 自営方式: 土地や建物の屋根に太陽光パネルを設置し、売電収入がそのまま事業収益となるのが「自営方式」です。 発電に適した立地を確保し適切な発電設備を設置できれば高利回りが期待できますが、それなりの事業投資が必要となります。
- 土地貸し方式: 土地を発電事業者に貸し、その賃料によって収益を上げるのが「土地貸し方式」です。 設備投資も必要とせず、故障や悪天候などの要因による発電量の低下のリスクを負わずに事業を始められますが、収入は発電事業者からの賃料だけになるため、収益は自営方式より低くなるのが一般的です。 事業投資はしたくない、リスクを負いたくないという方には適していると言えます。
収益化の仕組み
太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により普及が促進されてきました。この制度によって、長期にわたり安定した収益を確保できます。
- 住宅用太陽光発電: 自宅に設置した太陽光発電で得た電力から家庭内での電力消費を引いた余剰発電分を地域の電力会社に売電する仕組みで、固定価格での買い取りが保証される期間は10年です。
- 産業用太陽光発電: 原則として発電した全量を売電します。固定価格での買い取り期間は20年です。
なお、電力会社が太陽光発電設備からの電力を買い取る原資は、「再エネ賦課金」として、毎月の電気料金と併せて全国民に等しく請求されています。
固定価格買取価格の推移
固定価格買取制度(FIT)を利用した太陽光発電設備の買取価格は、2012年以降、年々下がっています。 これは、太陽光発電の普及とコストダウンが進んだ結果です。
固定価格買取期間が終了した後は、売電の停止、もしくは地域電力会社との交渉による任意での買い取りとなりますが、任意買い取りは極端な安価となることがほとんどです。 そのため、FIT期間終了後にCO2削減目標達成のために再生可能エネルギーの自家消費用途として太陽光発電所を保有したい企業に売却するケースも増えています。
土地貸し方式の賃料収入
土地貸し方式の場合、賃料収入による事業収益となります。 田舎の遊休地や耕作放棄地は、賃貸住宅や商業施設を建築できない土地であることが多く、賃料の相場は非常に安価なものとなりますが、少なくとも固定価格買い取り期間の10年あるいは20年間の契約を継続でき、土地活用による安定した収益を得る見込みが立ちます。
また、定期的に必要な草刈などの手入れの必要がなくなり、維持に掛かる経費負担がなくなるというメリットもあります。
太陽光発電導入のメリット・デメリット
太陽光発電を導入する際のメリットとデメリットを理解しておくことは、賢い土地活用のために重要です。
メリット
- 安定した収益化が可能 太陽光発電事業は、固定価格買取制度のおかげで長期に渡って安定した収益が見込めます。 発電量は設備のスペックと日射量で決まりますが、これまでの豊富な事例による実証データがあるため、現在では正確な推測が可能となっています。
- 集客不要で田舎の土地でも活用可能 アパートやマンションなどの賃貸物件は立地により収支が左右され、田舎の土地では集客に苦労するケースが多いです。 しかし、太陽光発電事業はこのような集客が不要で空室リスクもありません。
- 市街化調整区域内の土地でも収益化可能 田舎の土地は建築が不可能な「市街化調整区域」であることが多いですが、そのような土地であっても、送電線さえあれば太陽光発電設備の設置は可能であり、田舎の遊休地の土地活用としても最適です。
- 専門知識が不要で運用が容易 太陽光パネルの耐用年数は30年以上と長く、一度設置してしまえばそれほど手は掛かりません。 定期的な点検やメンテナンスは必要ですが、太陽光発電専門のO&M(オペレーション&メンテナンス)サービス業者が多数存在しており、業務委託をすれば専門知識が無くても運用が可能です。
- 初期投資の選択肢が広い 太陽光発電設備を設置する場合のイニシャルコストは、太陽光パネル本体、パワーコンディショナー、設置架台などの資材費と工事費になります。 田舎の遊休地に設置する場合は、土地の整地や造成費用も加算されます。 複数の業者から提案を受けて見積を取得し、十分に比較検討するようにしましょう。
デメリット
- 天候や周辺環境による収益変動リスク 太陽光の発電量は天候に左右されます。 異常気象等で長期間の悪天候が続けば、事業収支は悪化する可能性があります。また、当初は日照が良くても、その後に周辺に建物が建つことで日射が遮られ、発電量が下がり収支を悪化させることもあります。
- 自然災害への脆弱性 太陽光発電設備は屋外にあるため、台風や落雷、雹などの自然災害によってパネルが破損するリスクがあります。 これらのリスクに備えるため、損害保険への加入は必須と言えます。
- 大規模設備における維持管理コストの増加 50kW以上の発電設備は「自家用電気工作物」扱いとなり、電気主任技術者の選任が必要になるなど、維持管理コストが各段に上がることに注意が必要です。
- 固定価格買取期間終了後のリスク 固定価格買取期間が終了すると、売電単価が大幅に下がる可能性があります。
田舎の土地で太陽光発電を行う際の注意点
田舎の遊休地や耕作放棄地の土地活用として太陽光発電を行う際には、特に以下の点に注意が必要です。
- 立地条件の確認(日照量・積雪) 太陽光発電事業の収支は日射量に大きく左右されるため、立地が非常に重要になります。 所在地の日射強度や周辺の環境要因から検討した発電シミュレーションを業者に依頼し、慎重に事業収支を検討する必要があります。 雪国での設置も可能ですが、雪が積もると発電しなくなり、大雪の場合にはパネルの破損の恐れもあるため、発電事業としては不利な条件となります。
- 出力抑制(売電停止)のリスク 太陽光発電設備の急増により、日中は電気が余り、出力抑制(売電停止)がかかるケースが増えてきました。 これは事業採算を悪化させる大きなリスク要因です。土地活用で太陽光発電事業を検討するときは、周辺の太陽光発電所の立地状況を確認し、出力抑制がかかるリスクについて系統電力会社に確認しておくとよいでしょう。
- 遠隔監視システムの導入とメンテナンス体制の構築 田舎の土地に太陽光発電設備を設置する場合、容易に現地確認に行けない場合が多くあります。 太陽光パネルが劣化したり、何らかの原因で損傷した場合は発電能力が落ち、売電収益の機会損失となるだけでなく、漏電や発熱により火災を引き起こす恐れがあるため大変危険です。 異常が発生したときにいち早く検知できる遠隔監視システムとメンテナンス体制を構築しておく必要があります。
トラブル回避のポイント
太陽光発電による土地活用は、安定した収益が期待できる一方で、専門知識や適切な管理が求められます。特に、初期投資や収支シミュレーション、税務処理については、専門家のサポートが不可欠です。
東京武蔵野会計では、不動産に特化した税理士が、太陽光発電事業の収支計画から税務申告、そして将来的な事業承継まで、トータルでサポートいたします。
東京武蔵野会計のサポート内容
東京武蔵野会計は、不動産税務に特化した会計事務所として、太陽光発電事業を含む不動産オーナー様の幅広いニーズに対応します。
- 太陽光発電事業の収支シミュレーションと税務戦略の立案
- 確定申告書の作成
- 税務調査への対応
- 相続後の不動産運用サポート
- 法人化支援
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不動産活用に関するお悩みは、東京武蔵野会計に安心してお任せください。むさし先生がお客様の状況に合わせた最適なご提案をいたします。
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