【非常食の税務】防災備蓄品は買った瞬間に経費(損金)?注意点も解説

こじろー君

むさし先生!台風や豪雨に備えて会社で買った非常食や保存水って、実際に食べていなくても買い揃えた時に経費にしていいのかニャ?「使っていないものは貯蔵品として資産に残さないとダメ」って聞いたことがあるのニャ!

むさし先生

こじろー君、結論から言うと、防災備蓄品は社内に配備した時点で全額経費(損金)にして大丈夫なんだよ!でも10万円を超える高額な設備や、特定の社員だけに配る場合は税務上の扱いが変わるから詳しく解説するね!

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はじめに|企業に求められる帰宅困難者・防災対策

近年、局地的な線状降水帯による豪雨や大地震など、予期せぬ自然災害への備えが企業にとって重要課題となっています

各自治体の条例(帰宅困難者対策条例など)においても、企業に対して「全従業員の3日分の非常食や備品の備蓄」を努力義務として課すケースが増加しています

こうした防災対策で社内に備蓄する非常食や保存水、簡易トイレなどの購入費用について、会計・税務上で「いつの時期の経費(損金)として処理すべきか」という疑問を持つ経営者様も多いのではないでしょうか

経費処理の原則|配備した時点で「全額経費(損金)」に

一般的な事務用品などの消耗品は、期末に未使用分が残っている場合、一度「貯蔵品」などの資産として計上し直し、実際に使用した年度に費用化するのが税法上の原則です

しかし、国税庁の質疑応答事例によると、災害用の非常食や保存水については「社内に配備した(備蓄を開始した)事業年度の損金(消耗品費)に算入して差し支えない」とされています

【なぜ未使用でも即時経費になるのか?】

  • 目的の特殊性:非常食などは災害発生時に備えて「備蓄すること自体」が本来の目的であるため、備蓄した時点で事業の用に供されたと認められます。
  • 消耗品としての特性:一度配備すれば繰り返し使用するものではなく、災害時に消費される消耗品としての性質を持つためです。

そのため、実際の災害で消費した時ではなく、購入して配備した日の属する事業年度に全額を経費として計上できます。また、賞味期限の到来に伴う買い替え費用(ローリングストック)についても、同様に配備した事業年度の経費となります。

注意が必要なケース①|10万円を超える高額備品・設備

非常食や保存水は全額経費処理が可能ですが、防災対策として購入した物品の金額や性質によっては処理が異なります

1点あたり10万円を超えるような避難設備・防災機器を取得した場合は注意が必要です

高額な防災設備の例:事業継続計画(BCP)対策として導入する非常用発電機や、大規模な防災保管倉庫など。

税務上の処理:1個(1セット)あたり10万円を超える高額な備品・設備は、一括で経費にすることはできず、税法の規定に従って「資産計上」を行い、数年にわたって減価償却していく必要があります。

注意が必要なケース②|特定社員のみへの配布と給与課税

もうひとつの重大な注意点が、「誰のために備蓄・配布しているか」という点です

全社的な防犯・防災対策としてではなく、特定の役員や一部の社員だけに非常食や防犯グッズを配布・備蓄した場合、企業全体の防災費用ではなく個人に対する経済的利益の供与とみなされます

【特定社員へ限定配布した場合のリスク】

  • 給与(賞与)課税が発生:対象者への「現物給与(賞与)」と判定され、源泉所得税の徴収義務が生じます。
  • 役員賞与の損金不算入:特定の役員のみへの配布であった場合、事前確定届出給与等に該当せず「損金(経費)にならない」という大きな税務リスクが発生します。
  • 仕入税額控除の対象外リスク:給与とみなされることで、消費税の仕入税額控除が適用できなくなるおそれもあります。

(※なお、期限切れ間近の食品をフードバンクやNPO法人等へ寄附・提供した場合は、寄附金としての税務処理が発生するため事前のご確認が必要です。)

トラブル回避のポイント

企業が非常食や防災備蓄品を購入した際の税務トラブルで多いのは、「高額な発電機や大型倉庫を一括で経費処理して税務調査で否認されるケース」や、「特定の役員宅へ非常食セットを届けて役員賞与(給与課税)と判定されるケース」です

防災備蓄品を購入した際は、全社員を対象とした防災用であることを客観的に証明できるよう、社内での「防災管理規定」の整備や、購入した請求書・全社配布の記録を保管しておくことが大切です

また、10万円を超える設備については、中小企業の「少額減価償却資産の特例(30万円未満の即時償却)」などが活用できるか税理士に確認した上で処理を進めることが確実なトラブル回避へとつながります

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