個人不動産を法人に移す「法人化」は本当にお得?その方法と最適なタイミングを徹底解説

こじろー君

むさし先生! 最近、不動産投資の収益が増えてきたんだけど、税金がたくさん引かれちゃって…。不動産を法人名義にすると節税になるって聞いたんだけど、本当なのかニャ?手続きも難しそうで、どうしたらいいか分からないニャ!

むさし先生

こじろー君、個人で不動産を所有して大きな利益が出ると、確かに税負担が重くなることがあるね。そんなとき、不動産の「法人化」は有効な選択肢の一つだよ。でも、メリットばかりではなく、デメリットやリスクもあるから、一緒に不動産の法人化について学んでいこう!

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はじめに|不動産を「法人化」するとは?

不動産の法人化とは、個人が所有する不動産を、設立した法人に移して事業を行うことです。これにより、個人経営から法人の事業へと転換し、賃貸アパートや賃貸ビルなどの不動産ビジネスを法人として運営します。

不動産を個人名義から法人名義へ移す3つの方法

不動産を法人に移す方法は、主に以下の3つです。

いずれの方法も、不動産の名義を個人から法人へ変更する手続きが必要です。どの方法を選択するかによって、節税効果や手続きの手間、かかる費用が異なります。

法人への贈与

個人の不動産を法人へ無償で贈与する方法です。手軽な方法ではありますが、税金に注意が必要です。個人には、不動産の時価で法人に譲渡したとみなされる「みなし譲渡所得」として譲渡所得税が課され、法人には「受贈益」として法人税が課せられます。贈与税が高額になるため、現実的には難しい方法です。

法人への売買

個人が所有する不動産を、その人が経営する法人が買い取る方法です。取引はあくまで適正価格で行う必要があり、極端に安い金額で売買すると、適正価格との差額が個人への贈与とみなされる可能性があります。通常の売買と同様に譲渡所得税不動産取得税も発生します。

法人への現物出資

個人が法人に対し、資本金の代わりに不動産を現物で出資する方法です。購入資金の準備が不要となる一方で、手間と費用がかかります。特に、出資する不動産の価格が500万円以上の場合、弁護士や公認会計士、税理士などによる価額の証明が必要になります。この証明がない場合、裁判所の調査が必要となり、多額の費用と時間がかかるため注意が必要です。

不動産を法人名義へ移す主なメリット

個人所有の不動産を法人名義へ移すことで、税金面や事業運営において様々なメリットが得られます。

節税効果が期待できる

不動産から得られる所得が大きくなると、個人の所得税率が高くなります。個人の所得税は累進課税で、所得が4,000万円を超えると税率は最大45%にも達します。一方で、法人税の税率は最大でも23.2%です。

不動産収入が少ないうちは個人所有の方が税金は安く済みますが、利益が一定額を超えると法人化した方が節税できる可能性が高くなります

経費として計上できる幅が広がる

法人化すると、経費として認められる範囲が広がります。これにより、課税所得を抑えることができ、節税につながります。

個人事業主では経費にできない、または按分が必要な費用でも、法人化すれば経費にできる場合があります。

  • 役員報酬や給与:家族を役員や従業員にすることで、役員報酬や給与を支払い、所得を分散できます。
  • 退職金
  • 生命保険料(一定の要件を満たす場合)
  • 車の購入費や維持費:事業用として車を購入すれば、減価償却費やガソリン代、車検代などを経費にできます。

相続税対策になる

不動産を法人化することで、個人の相続財産を減らし、相続税を抑えられる可能性があります。法人の株式は相続財産に含まれますが、生前に家族へ株式を分散したり、法人版事業承継税制を活用したりすることで、相続税を抑えることが可能です。

金融機関からの信用力向上につながる

一般的に、個人事業主よりも法人のほうが信用力が高いと評価される傾向にあります。これにより、金融機関からの融資が受けやすくなり、大規模な不動産事業を展開する際に有利になることがあります。

不動産の法人化に潜むデメリット

一方で、不動産の法人化には、コスト増や手間が増えるといったデメリットも伴います。

法人化にコストと手間がかかる

法人を設立するには、登録免許税や定款認証手数料などの初期費用がかかります。また、不動産を法人に移す際にも、贈与税や不動産取得税、登録免許税などが発生します。

社会保険料などのコストが増える

法人になると社会保険への加入が必須となり、従業員の厚生年金や健康保険の負担が発生します。また、税理士への依頼料も必要となりますし、法人は赤字であっても法人住民税の均等割(年間7万円前後)を支払う必要があります。

融資を返済中の物件では手数料にも注意が必要

融資を利用して購入した物件を名義変更する場合、繰り上げ返済や借り換えの事務手数料が発生することがあります。

税務否認リスク

不動産の売却や現物出資を極端に安い金額で行うと、適正価格との差額が個人への「みなし贈与」とみなされ、税務調査で否認されるリスクがあります。これにより、追徴課税などのペナルティを受ける可能性もあるため、適正な価格での取引が不可欠です。

不動産の法人化を検討すべきタイミング

不動産の法人化を検討する最適なタイミングは、所得の内容によって異なります。

  • 給与所得がある方: 給与所得が900万円以上になったら検討してみましょう。給与所得が900万円以上になると、不動産所得に対する所得税率が33%以上になります。一般的な法人税率は15.0%〜23.2%であるため、法人に名義変更した方が税金が安くなる可能性が高いです。
  • 不動産収入だけの方: 不動産所得が330万円以上になったら検討のタイミングです。所得が330万円以上になると、所得税率が20%になり、住民税を合わせると約30%の税金がかかることになります。

法人化にかかる手間や費用と、それによって得られる節税メリットを比較して、慎重に判断することが重要です。

トラブル回避のポイント

不動産を個人名義から法人名義へ移すことは、メリットとデメリットの両方があります。節税や法人運営、名義変更の手続きなど、検討すべきポイントはたくさんあります。

誤った会計処理は、税務調査の対象となるだけでなく、不必要な税金を支払うことにもつながりかねません。適切な確定申告を行い、安心して不動産投資を続けるためには、不動産税務に強い税理士のサポートを受けることが最も確実な方法と言えるでしょう。

東京武蔵野会計のサポート内容

東京武蔵野会計は、不動産オーナー様の税務・会計を幅広くサポートしています。不動産の法人化に関するご相談から、最適なタイミングと方法のシミュレーション、そして実行まで、トータルでサポートいたします。

  • 法人化のメリット・デメリット分析とシミュレーション
  • 最適な法人化方法(売却、贈与、現物出資)に関するアドバイス
  • 法人設立の手続き支援
  • 不動産法人に関する税務顧問
  • 各種節税対策の提案と実行支援
  • 税務調査への対応

不動産の法人化を検討されている方は、ぜひ一度、東京武蔵野会計にご相談ください。お客様の状況に合わせた最適なプランをご提案し、安心して不動産経営に集中できるよう、税務の面から力強く支えます。

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