
むさし先生、保有している賃貸不動産の確定申告の時期が近づいてきたんだけど、何から手をつけていいのかわからニャくて…。書類もたくさんあるし、間違えちゃいそうで不安だニャ!

こじろー君、心配いらないよ。不動産運用の確定申告は、確かにいくつか準備することがあるけれど、ポイントを押さえれば大丈夫!きちんと申告すれば、節税につながる大切な手続きだからね。今回は、不動産投資の確定申告のやり方から必要書類、そして見落としがちな注意点まで解説するから安心してね。
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はじめに|不動産投資における確定申告の重要性
不動産投資で収益を上げることと同じくらい、確定申告の手続きは非常に重要です。もし必要経費の計上漏れがあれば、本来よりも多くの税金を納めることになってしまいます。また、税務署から計算ミスなどを指摘された場合には、加算税などのペナルティを受ける可能性もあるため注意が必要です。
今回は、不動産投資の確定申告について、その進め方から準備すべき書類、そして手続きを進める上での留意点までを詳しくご紹介します。不動産投資を始めたばかりの方も、長年経験されている方も、ぜひ参考にしてください。
不動産投資の確定申告の進め方と必要な準備
不動産投資に関する確定申告を行う場合、確定申告書以外にも様々な書類を用意する必要があります。年間の不動産収入と経費を正確に把握することが、所得税額を算出する上で不可欠となります。
確定申告関連の主要書類を準備する
所得税の確定申告は、その年に発生した所得金額を基に所得税額を計算するために行う手続きです。不動産投資の収入と経費に関する金額が不明瞭だと所得税を計算することができないため、賃貸契約書など、収支に関する書類は事前に整理しておきましょう。
- 所得税の確定申告書(第一表・第二表)
- 収支内訳書または青色申告決算書(不動産所得用)
- 不動産投資の収入を証明する書類
- 不動産投資の経費を証明する書類
- 源泉徴収票(給与所得がある方)
- 会社員の場合、不動産投資以外に給与所得がありますので、年間の収入が確認できる書類として源泉徴収票が必要となります。
- マイナンバーカードのコピーまたは本人確認書類
- 確定申告書には、個人番号(マイナンバー)の記載が義務付けられています。郵送で提出する際は、個人番号を確認するためにマイナンバーカードのコピーを添付しなければなりません。マイナンバーカードを所有していない場合は、個人番号が記載されている番号確認書類(通知カードや住民票の写しなど)と、運転免許証などの身元確認書類を用意しましょう。
不動産収入と経費の金額を整理する
不動産投資による所得金額は、不動産収入から経費を差し引いて算出されますので、その年に生じた収入と経費の金額を正確に計算することが重要です。 不動産貸付を継続的に行っている場合、毎月発生する収入に大きな変動はありませんが、経費に関しては月によって支出する金額が異なることが多いです。 経費の計上漏れは、そのまま税負担の増加につながるため、申告書を作成する前に不動産収入だけでなく、支払った経費もすべて整理しましょう。
申告書の提出方法と期限
所得税の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までの1か月間です。納税の期限も申告期限と同日となっているため、翌年3月15日までに申告と納税の手続きを完了させる必要があります。 住民税の申告期限は所得税と同じですが、所得税の確定申告書を提出すれば、住民税の申告書を改めて提出する必要はありません。
確定申告書には、書面で作成して提出する「書面申告」と、インターネットを利用して電子的に提出する「電子申告」の2種類があります。
- 書面申告: 税務署や国税庁ホームページから印刷した申告書を用いて作成し、所轄税務署の窓口または郵送で提出します。
- 電子申告(e-Tax): 国税庁ホームページ等の「確定申告書等作成コーナー」で作成したものを電子送信して提出します。自宅にいながら、いつでも申告書を提出できるのが大きなメリットです。原則としてマイナンバーカードが必要となりますが、メンテナンス時間を除けば、平日の夜や休日であっても申告が可能です。
どちらの方法で申告書を作成しても、申告・納期限は同じであり、税額が増減することもありません。
不動産投資における確定申告の手順と書類作成のポイント
不動産投資の確定申告は、まず収支内訳書または青色申告決算書を作成し、その内容を基に確定申告書を作成する流れとなります。
収支内訳書・青色申告決算書の作成手順
確定申告書と収支内訳書、青色申告決算書の様式は、税務署または国税庁ホームページからダウンロードできます。申告書は居住地を所轄する税務署に提出することになりますが、使用する確定申告書の様式は全国共通です。 収支内訳書は白色申告者が、青色申告決算書は青色申告者が使用する様式で、不動産収入や経費の内訳を詳しく記載します。
確定申告書への情報転記と注意点
収支内訳書または青色申告決算書で算出した収入金額と所得金額は、所得税の確定申告書に転記します。会社員の方は、勤務先で行った年末調整の内容も確定申告書に記載しなければなりませんので、給与所得や所得控除等の記載漏れがないか、十分に確認してください。
確定申告書提出時の留意事項
確定申告書を提出する場合、適用する特例制度に応じて必要書類を添付しなければなりません。特例制度を適用する要件を満たしていても、提出義務がある書類が添付されていないと、特例を受けることができません。 また、納税者が年の途中で亡くなった際には、通常の確定申告ではなく「準確定申告」を行うことになります。準確定申告は、手続き時期や提出書類が通常の確定申告とは異なるため、注意が必要です。
会社員が不動産投資を行った場合の確定申告
会社員が不動産を貸し付けて得た収入は不動産所得となり、給与所得とは別に所得金額を計算します。
会社員は、勤務先で年末調整を行っていれば確定申告は不要となることが一般的ですが、勤務先からの給与以外の所得が20万円を超える場合には、年末調整が済んでいたとしても確定申告が必要です。不動産投資の規模が大きくなると、所得金額が増えることで所得税の税負担が重くなる可能性があります。
不動産投資で赤字が発生している場合、その赤字を給与所得など他の所得と相殺する「損益通算」ができますが、損益通算をするためには確定申告が必須です。このため、不動産投資を行っている会社員の方は、基本的に毎年確定申告の手続きを行う必要があります。
不動産投資の確定申告で還付金を受け取る仕組み
不動産投資で赤字が発生している場合、確定申告書を提出することで、すでに納め過ぎた税金が還付されることがあります。
還付金の基本的な仕組み
不動産投資で赤字となった場合、その赤字は他の所得と相殺することが可能です。確定申告は、その年に生じた所得金額に対して納めるべき税額を算出するために行いますが、給与所得などの一部の所得については、源泉徴収などで先に税金を納めていることがあります。損益通算によって所得金額が減少し、先に納めた税額よりも実際の納税額の方が小さくなった場合、確定申告書を提出すれば納め過ぎていた分の税金が戻ってきます。
還付金を増やすための重要ポイント
不動産投資をしている人が所得税の還付を受けられる主なケースは、不動産投資の収支が赤字になった場合です。減価償却費などの経費を適切に計上することで、計算上は不動産投資の収支が赤字となり、確定申告で所得税が還付されることがあります。 費用を支払うタイミングが年をまたぐなどしてしまうと、算出される損益の額が変わるため、適切なタイミングで経費を計上することが大切です。
不動産投資の確定申告における経費計上のポイント
不動産投資の経費として計上できる費用の中で、特に金額が大きくなるのが建物の購入費です。建物などの減価償却資産は、購入費用をその耐用年数に応じた期間に分割し、「減価償却費」として毎年経費計上することになります。
原則として、購入した年に一括で経費計上することはできません。 建物の耐用年数は構造によって異なり、木造よりも鉄筋コンクリート造の方が耐用年数は長いため、1年あたりで計上できる減価償却費は小さくなる点には注意が必要です。
不動産投資で計上できる主な経費
不動産貸付業を営んでいる方が計上できる主な経費は、以下の通りです。
- 固定資産税
- 減価償却費
- 修繕費
- 管理費
- 租税公課(不動産取得税、登録免許税など)
- 損害保険料
- 消耗品費
- 通信費
- 交通費
これらの経費を漏れなく計上することが、適切な納税と節税につながります。
不動産投資の確定申告を税理士に依頼するメリット
確定申告の手続きをしたことがない方や本業が忙しい方は、申告手続きを税理士に任せるのも一つの有効な選択肢です。
税理士に依頼する利点と考慮すべき点
不動産投資による確定申告は毎年必要となるため、税理士に依頼することで申告手続きの労力を大幅に削減できます。税理士は税の専門家ですので、適切な税務処理を行い、計算ミスなどのリスクを軽減できます。
また、税金対策も講じることで、税負担を軽くできるのも税理士に依頼する大きなメリットです。 一方で、税理士によって得意分野や能力、対応の仕方は異なります。申告手続きを依頼する際には報酬費用がかかるため、その対価に見合う仕事をする税理士を選ぶ必要があります。
適切な税理士の選び方
税理士に申告書作成を依頼する場合、特に不動産投資に関する税務に精通しているかどうかが重要なポイントになります。所得税の申告書の作成代行をしている税理士でも、不動産投資に関する税金に詳しくない税理士も存在します。
また、不動産投資は将来的に不動産の売却や相続が発生した際の税金も関係してくるため、譲渡所得税や相続税にも詳しい税理士を選ぶのが望ましいです。
税理士に依頼しない場合のリスクと対策
納税者自身が申告書を作成することは可能であり、申告内容が適切であれば税務署から指摘されることもありません。
しかし、税理士が作成した申告書に比べると計算ミスなどを指摘されることが多いため、税務調査の対象となりやすい傾向があります。 不動産投資の規模が大きくなると、その分だけ税務調査を受けるリスクが高まるため、今までご自身で申告書を作成していた方でも、リスク管理のために税理士へ依頼することも検討してください。
不動産投資の出口戦略と税理士の役割
不動産投資は、不動産を運用するだけでなく、最終的な売却や相続時に発生する税金も考慮した「出口戦略」が重要となります。
マンションなどの不動産売却時や承継時には専門家への相談を検討すべきです。売却した際には譲渡所得税の対象となりますが、特定の特例制度を活用することで税負担を軽減またはゼロにできる場合があります。しかし、これらの特例制度の存在を知らなければ適用できませんし、要件をクリアしていないことを指摘された場合、追徴課税の対象となる可能性があります。
不動産を次世代へ承継する際には、贈与税対策や相続税対策が必要となりますが、最適な節税手段は個々の資産状況などによって異なります。このため、税理士に相談しながら、長期的な視点で対策を講じることが望ましいです。
トラブル回避のポイント
不動産投資の確定申告は、多くの書類の準備と複雑な税法への理解が必要となります。特に、経費の計上や減価償却費の計算、損益通算の適用など、専門的な知識が求められる場面が多くあります。
誤った申告は、税務調査の対象となるだけでなく、不必要な税金を支払うことにもつながりかねません。適切な確定申告を行い、安心して不動産投資を続けるためには、不動産税務に強い税理士のサポートを受けることが最も確実な方法と言えるでしょう。
東京武蔵野会計のサポート内容
東京武蔵野会計は、不動産税務に特化した会計事務所として、不動産オーナー様の確定申告を全面的にサポートいたします。
- 不動産所得の確定申告書の作成支援
- 経費の判断や計上に関する適切なアドバイス
- 青色申告の導入支援
- 最適な節税対策のご提案
- 税務調査への対応
- 不動産売却時の譲渡所得税申告
- 相続後の不動産運用サポート
不動産税務に精通した専門家が、お客様一人ひとりの状況に合わせて最適なサポートを提供し、お客様の不動産経営を力強くバックアップします。
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