
むさし先生!お店として使っていた建物を、途中から倉庫や事務所に変えることになったのニャ。こういうのって税金や減価償却の計算はどうなるのかニャ?途中で使い道を変えたら、その年の経費の計算がややこしくなりそうで心配だニャ!

こじろー君、建物の用途を変えることを「転用」と言うんだよ。転用した年の減価償却費は、原則として期間ごとに細かく分けるけれど、実は「期首から新しい使い道として計算していい」という便利な特例もあるんだ。今回はその計算方法と注意点を解説するね!
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はじめに|減価償却資産の「転用」とは?
会社を経営していると、当初の目的とは別の用途に減価償却資産を切り替えることがあります。例えば、「店舗として使っていた木造建物を、リフォームして事務所や倉庫として使い始めた」というようなケースです。これを税務上では資産の「転用」と呼びます。
建物などは用途によって法律で定められた「耐用年数(償却率)」が異なるため、年度の途中で転用があった場合、その期の減価償却費(償却限度額)をどのように計算するかが問題となります。
税務上、これには原則的な計算方法のほかに、実務の負担を減らすための特例が用意されています。
以下の具体的な事例をもとに、3つのパターンを見ていきましょう。
【事例:3月決算の製造業】
取得価額200万円の木造建物を、もともと「事務所」として使用していたが、改造を行って当期の7月から「倉庫」として使い始めた。
木造事務所の耐用年数:24年(定額法償却率:0.042)
木造倉庫の耐用年数:15年(定額法償却率:0.067)
原則のルール|転用前後の期間で「区分計算」を行う
原則的なルールでは、「転用した前と後」の期間にそれぞれ区分して、月割で償却限度額を計算します。転用した月以後は、新しく変更した用途の耐用年数を適用することになります。
事例のケース(7月から倉庫へ転用)では、以下のように計算します。
- 転用前の期間(4月〜6月の3ヶ月間:事務所として計算) 200万円 × 0.042 × 3ヶ月/12ヶ月 = 21,000円
- 転用後の期間(7月〜翌3月の9ヶ月間:倉庫として計算) 200万円 × 0.067 × 9ヶ月/12ヶ月 = 100,500円
これらを合計した「121,500円」が、この事業年度の償却限度額となります。
特例その1|期首から転用後の耐用年数でまとめて計算する
原則通りの区分計算は、月数のカウントや計算が少し煩雑になります。そこで法人税の通達では、区分計算を行わずに、「その事業年度の期首(最初)から、転用後の耐用年数を使ってまとめて計算してよい」という特例が認められています。
事例のケースにこの特例をあてはめると、以下のようになります。
- 期首からすべて「倉庫(15年)」として計算 200万円 × 0.067 = 134,000円
原則の区分計算よりも償却限度額が大きくなり、結果として今期の経費(損金)を多く計上できるというメリットがあります。
※特例その1を適用する場合の注意点
この特例を使うためには、「その期に転用した資産のすべて」について、同じように転用後の耐用年数で計算することが条件となります。もし同一事業年度内に2つ以上の転用資産がある場合、「この建物は特例を使うけれど、あの機械は原則通り区分計算にする」といった、資産ごとの使い分けはできませんので注意してください。
特例その2|「定率法」を採用している場合の特別ルール
転用した資産の償却方法が「定率法」である場合には、もう一つの別の特例が用意されています。
もし、転用したことによって耐用年数が前よりも「短く」なったにもかかわらず、定率法の数式の関係上、転用後の限度額が転用前の限度額よりも小さくなってしまう(損をしてしまう)ケースがあります。そのような場合には、例外的に「転用前の古い耐用年数のまま」で当期の償却計算を行うことが認められています。
取得後3年以内は要注意!「仕入税額控除の調整」という落穴
固定資産の用途を変更した際は、減価償却だけでなく「消費税の取扱い」にも細心の注意を払わなければなりません。
税抜100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を取得してから3年以内に、その資産を「課税売上(店舗など)のための用途」から「非課税売上(居住用賃貸など)のための用途」へ、あるいはその逆へと転用した場合、過去に行った消費税の仕入税額控除の金額を後から「調整(増減)」しなければならないルールがあります。
特に、居住用賃貸建物を一定期間内に課税業務用へ転用した際などには、消費税の控除額を追加できるお得な仕組みもありますが、裏を返せば、処理を誤ると税務署から大きな指摘を受けるポイントでもあります。
トラブル回避のポイント
資産の使い道を変える「転用」は、一見すると単なる社内のレイアウト変更や事業転換のように思えますが、税務上は減価償却費の限度額が変わり、さらには消費税の調整が必要になるなど、非常に影響の大きいイベントです。
特に「特例を使って期首から新しい耐用年数で計算する場合の全資産一括適用のルール」や、「取得後3年以内の消費税の調整リスク」などは、専門的な知識がないと見落としがちになります。自己判断で「今まで通り」処理してしまうと、税務調査の際に「減価償却の超過」や「消費税の申告漏れ」を指摘され、追徴課税(ペナルティ)を受ける原因になります。用途変更を行った期は、必ず決算前に税理士などの専門家へ相談し、適正な処理を確認しておくことが確実なトラブル回避へとつながります。
東京武蔵野会計のサポート内容
東京武蔵野会計は、不動産や固定資産に関する複雑な税務に高い専門性を持ち、お客様の「未来を見据えた経営」を伴走支援する会計事務所です。資産の転用に伴う減価償却費の最適化や、消費税のリスク管理をトータルでサポートいたします。
- 固定資産の用途変更(転用)に伴う、原則・特例を比較した最も有利な償却シミュレーション
- 同一事業年度内に複数資産がある場合の、通達に基づいた適正な一括適用判定アドバイス
- 取得後3年以内の転用時における、消費税「仕入税額控除」の複雑な調整計算・申告サポート
- 安心の「書面添付制度」標準採用による、固定資産・消費税まわりの税務調査リスク徹底低減
- クラウド会計を活用した固定資産台帳のリアルタイム管理と、スマートな財務基盤の構築支援
お問い合わせ・無料相談のご案内
建物の使い道を変更した際の減価償却の計算方法や、転用に伴う消費税の調整が必要かどうか不安な経営者様は、お気軽にご相談ください。初回無料相談を実施しています。
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