パートの社会保険加入義務が小規模企業にも!「130万円の壁」と企業が取るべき対応

こじろー君

むさし先生!パートさんの社会保険のルールが大きく変わるって聞いたのニャ。うちみたいな小さい会社も対象になるのかニャ?あと「130万円の壁」の計算方法も変わって残業代が含まれなくなるって本当かニャ?詳しく教えてほしいニャ!

むさし先生

そうなんだよ。社会保険の適用拡大は段階的に進んでいて、将来的にはほぼ全ての会社が対象になるんだ。扶養の130万円の判定も契約ベースの見込み額に変わったから、契約と実態の乖離に注意が必要だよ。詳しく解説するね!

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はじめに|社会保険適用拡大と「130万円の壁」の最新動向

厚生労働省は「社会保険適用拡大特設サイト」をリニューアルし、年金制度改正の内容を反映した新制度の周知を進めています。これまで大企業を中心に進められていた社会保険の適用拡大ですが、今後は小規模な企業や事業所へと段階的に義務化されていきます

さらに、いわゆる「130万円の壁」と呼ばれる健康保険の扶養認定基準についても大きな見直しが行われました。これにより、パート・アルバイトを雇用するすべての経営者様にとって、雇用契約書の管理と実態の把握が極めて重要な実務となっています

順次スタート!企業規模ごとの適用拡大スケジュール

厚生労働省が示したスケジュールによると、社会保険の適用拡大(特定適用事業所への移行)は、従業員数(被保検者の人数)に応じて以下のように段階的に施行されます

  • 51人以上:適用済
  • 36〜50人:補助対象企業となり、令和9年10月施行
  • 21〜35人:令和11年10月施行
  • 11〜20人:令和14年10月施行
  • 10人以下:令和17年10月施行

現在は51人以上の事業所で「直近12ヶ月のうち6ヶ月」基準を上回ると対象となり、日本年金機構から通知が届きます。近い将来、ほぼすべての会社や個人事業所が社会保険の強制適用対象となるため、事前の財務・労務プランニングが欠かせません

令和8年10月撤廃!パート・アルバイトの「月8.8万円」要件

企業規模の拡大だけでなく、働く従業員側の加入要件も大きく変更されます。令和8年10月以降は、これまで判断基準となっていた「所定内賃金が月8.8万円以上」という要件が完全に撤廃されます。

これにより、以下の2つの条件を満たすパート・アルバイトは、会社の規模に応じて自動的に社会保険の加入対象となります

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 学生ではないこと

「金額を抑えているから大丈夫」というこれまでの調整方法が通用しなくなるため、シフト管理の見直しが必要です

令和8年4月変更!「130万円の壁」扶養認定は雇用契約ベースへ

健康保険の扶養にとどまれるかどうかの基準である「年収130万円未満」という枠組み自体は維持されているものの、その「年収の数え方」の基準が令和8年4月から変更されました

これまでは過去の実績や突発的な残業代も含めた総収入で判断されることが多かったのですが、今後は「労働条件通知書(雇用契約書)に記載された内容」をもとに判定されます

  • 算入されるもの:契約上の時給、基本給、通勤手当などから換算し、見込まれる賃金額
  • 除外されるもの:契約段階であらかじめ見込めない残業手当(時間外労働手当)や賞与など

突発的な残業による収入増で即座に扶養から外れるリスクが減った反面、契約書の内容そのものが審査のベースとなるため、書面の正確性が厳しく問われます。

企業が今すぐチェックすべき4つの注意点と実務対応

この新しい扶養認定の運用にあたり、小規模事業者であっても以下の4つのポイントを必ず実務で確認しなければなりません

  1. 契約内容の個別確認:従業員ごとに、現在の雇用契約書の内容が基準未満に収まっているかを再確認する。
  2. 時間外労働の恒常化チェック:突発的な残業は除外されますが、残業が「恒常化(毎月当たり前にある状態)」していないかを確認する。
  3. 契約と実態の乖離の訂正:もし「契約上は週15時間だが、実際は毎月週25時間働いている」といった実態とのズレがあれば、速やかに契約書を実態に合わせて訂正する。残業が恒常化していれば、契約の見直しと扶養の再判定が必要です。
  4. 働き方変更時の社保チェック:スタッフが勤務時間を増やすなど働き方を変える際は、必ず社会保険の加入対象にならないかを事前にチェックする。

新たな加入対象者になる可能性がある従業員には、個人面談などを通じて事前に丁寧な説明を行うことが、現場の混乱を防ぐために極めて重要です

トラブル回避のポイント

社会保険の適用拡大と扶養認定基準の変更は、働くパート・アルバイト側にとっては手取り額が大きく変わる死活問題です。会社が正しいルールを理解せずに「残業代は含まれないからいくら残業しても扶養のままだ」と誤認させたり、実態と異なる契約書を放置したりしていると、後から年金機構等の調査で過去に遡って多額の社会保険料を徴収され、会社・従業員双方が大きな金銭的ダメージを受ける労務トラブルに発展します

法人の人件費負担の増加(財務への影響)を見据えたシフト設計や、適正な雇用契約書の整備を進めるためには、自己判断せず、事前に財務と労務の両面から専門家にアドバイスを求めておくことが確実なトラブル回避へとつながります

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