
むさし先生!色んな種類の商品をまとめて仕入れたとき、運賃や検品代の『付随費用』をそれぞれの商品にどう分ければいいのかニャ?商品ごとに1個ずつ細かく計算しなきゃダメなのかニャ?簡単で正しいやり方があれば知りたいのニャ!

こじろー君、まとめてかかった費用を各商品に分ける『配賦』には、代価比や数量比など3つの便利な方法が認められているんだよ。今回は実際の計算例を見ながら、自社に合った処理の選び方と税務上の注意点を分かりやすく解説するね!
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はじめに|棚卸資産の取得価額と付随費用
商品を仕入れたり材料を購入したりした際、帳簿(在庫の取得価額)に記録する金額は、単に相手に支払った「商品そのものの代金(購入代価)」だけではありません。その商品を消費したり販売したりするために直接かかったすべての費用(付随費用)を含めるのが税務上の大原則です。
しかし、価格や個数の異なる複数の商品を一括して仕入れた場合、運賃や検品費用といった共通の費用を「どの中身の商品に、いくらずつ割り振ればいいのか」という実務上の疑問が生じます。
税務上、これには実務の負担を減らすための合理的な按分ルールが用意されています。
共通の付随費用を分ける「3つの配賦方法」
税務上、異なる棚卸資産に共通してかかった付随費用は、以下の3つの方法のいずれかを用いて、種類・品質・型などの区分ごとに配賦(按分)することが認められています。一度決めた方法は、毎期「継続して適用」することが条件となります。
購入代価の大きなもののみに配賦する(小口不配賦)
主要な(金額が大きい)商品だけに費用を割り振り、少額の商品への配賦を省略する方法。
購入代価の比で配賦する
仕入れた商品の「金額」の割合に応じて分ける方法。
購入数量の比その他の基準で配賦する
仕入れた商品の「個数や重さ」などの割合に応じて分ける方法。
【事例で学ぶ】共通費用60千円を按分する3つの計算例
具体的な事例をもとに、それぞれの方法で各商品の取得価額がどう変わるかを見てみましょう。
【事例】3種類の仕入商品(総購入代価:1,000千円 / 総数量:12,500個)
A商品:単価75円 × 5,000個 = 購入代価375千円(数量40% / 価格37.5%)
B商品:単価100円 × 5,000個 = 購入代価500千円(数量40% / 価格50%)
C商品:単価50円 × 2,500個 = 購入代価125千円(数量20% / 価格12.5%)
【共通してかかった引取費用等:計60千円】
内訳:引取運賃20千円、検収費16千円、支店への搬送費24千円
購入代価(金額)の比で配賦する場合
商品の仕入金額の割合(A: 37.5%、B: 50%、C: 12.5%)に応じて、共通費用60千円を掛け合わせて按分します。金額が高い商品ほど、多くの付随費用を負担する最も標準的な方法です。
- A商品:375千円 +(60千円 × 価格0.375)= 397.5千円
- B商品:500千円 +(60千円 × 価格0.50)= 530.0千円
- C商品:125千円 +(60千円 × 価格0.125)= 132.5千円
購入数量(個数)の比で配賦する場合
商品の個数の割合(A: 40%、B: 40%、C: 20%)に応じて、共通費用60千円を按分します。運送時のボリュームや検品の手間が金額ではなく個数に比例する場合などに適しています。
- A商品:375千円 +(60千円 × 数量0.40)= 399.0千円
- B商品:500千円 +(60千円 × 数量0.40)= 524.0千円
- C商品:125千円 +(60千円 × 数量0.20)= 137.0千円
主要な商品のみに配賦する場合(小口不配賦)
仕入金額が小さい小口の商品(事例ではC商品)への配賦を省略し、主要な商品(A商品とB商品)の金額比(375:500)だけで60千円を按分する方法です。実務の手間を大幅に減らすことができます。
- A商品:375千円 +(60千円 × 375/875)= 400,714円(端数切捨て)
- B商品:500千円 +(60千円 × 500/875)= 534,286円(端数切上げ)
- C商品:125.0千円(共通費用の配賦なし)
見落としがちな税務ルール|「購入代価の3%」の壁
今回の事例において、外部に支払った引取運賃(20千円)以外の内部付随費用(検収費16千円)と移管費用(支店への搬送費24千円)の合計額である「40千円」は、購入代価の総額(1,000千円)に対して3%(30千円)を超えています。
税法では、こうした内部付随費用や移管費用の合計が、購入代価の「概ね3%以内」であれば、例外的に取得価額に算入せず、支払った期の経費(費用)として一括処理してよいという少額特例があります。しかし、今回の事例のように3%を超えている場合は、原則通り必ず商品の取得価額(在庫の原価)に算入しなければならないため、計算を省略してすべて経費処理してしまわないよう注意が必要です。
トラブル回避のポイント
在庫(棚卸資産)の付随費用の処理は、税務調査でも非常に細かくチェックされる論点です。「面倒だから運賃や搬送費はすべてその月の経費にしよう」と処理していると、期末に残った在庫に対応する付随費用が経費から除外され、税務署から「利益の過少申告(在庫の過少評価)」として追徴課税を受けるトラブルの原因になります。
特に、どの配賦方法を選ぶかによって期末の在庫金額が変わり、当期の利益も変動します。自社のビジネスの実態(金額ベースが良いか、数量ベースが良いか)に合わせた最適な方法を選び、一度決めた方法を継続して正しく運用するためには、自己判断せず、事前に税理士などの専門家に確認した上で会計システムの設定を整えておくことが、確実なトラブル回避へとつながります。
東京武蔵野会計のサポート内容
東京武蔵野会計は、クラウド会計を駆使した「正確でリアルタイムな原価計算・財務管理」に強みを持つ会計事務所です。棚卸資産の複雑な税務判断から、経営の未来を見据えた在庫管理体制の構築までトータルでサポートいたします。
- 貴社の仕入実態や商品特性に合わせた、最も合理的かつ有利な付随費用配賦方法の選定アドバイス
- 「購入代価の3%要件」を見据えた、付随費用・移管費用の適正な税務判定および仕訳指導
- クラウド会計と連動した、期末棚卸高(在庫原価)の正確な自動計算・管理体制の構築支援
- 安心の「書面添付制度」標準採用による、棚卸資産まわりの明確な根拠提示と税務調査リスク低減
- 在庫の回転率やキャッシュフローを最適化するための、安心の伴走型財務コンサルティング
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