
むさし先生!新しいシステムを開発したから「研究開発税制」で節税したいのニャ!でも、うちには専属の研究員がいなくて、普段は別の仕事をしているスタッフが兼任で開発したニャ。これだと人件費を節税の対象に含めることはできないのかニャ?

こじろー君、そんなことはないよ。他の業務と兼務していても、実働日数や専門性など「4つの要件」を満たしていれば、開発に従事した期間の人件費を対象に含めることができるんだ。今回はその「専ら要件」のクリア方法と正しい計算例を解説するね!
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はじめに|研究開発税制のメリットと人件費の重要性
企業が新しい技術や製品、ソフトウェアなどを生み出すために行う試験研究を支援する「研究開発税制(試験研究を行った場合の法人税額の特別控除)」は、発生した費用に応じて法人税から直接税金を差し引くことができる非常に強力な節税制度です。
この制度を活用する上で、実務上最も大きなウェイトを占め、集計の最大のポイントとなるのが「人件費」です。ここで対象となる人件費とは、専門的知識を持ってその研究開発業務に「専ら従事する者」に対して支払われる給与、賞与、諸手当、退職金のほか、会社が負担する法定福利費や福利厚生費などが含まれます。
税務調査の争点|「専ら従事する者」の基本定義
実務において、税務署との間で最も激しい争点となりやすいのが、この「専ら(もっぱら)」という要件の解釈です。基本的には、100%専属で直接的な研究業務を行っている「研究員」が想定されており、以下のような人が該当します。
・研究所などの研究部門に所属している者、またはそれを専業とし、研究者としての肩書を有する者
・プロジェクトの全期間にわたってその業務に従事する者
兼任者でも対象になる!「専ら」要件を満たす4つの条件
しかし、中小企業やベンチャー企業においては、限られた人的資源の中で研究開発を行わざるを得ないため、「普段は通常の設計や生産ラインの業務をしながら、新型開発プロジェクトも兼務する」というケースが一般的です。
このような「兼任者」であっても、以下の4つの要件をすべて満たしていれば、例外的に「専ら従事する者」に該当するものとして、その期間の人件費を税額控除の対象に含めることができます。
- 期間内の専属的な従事:専門知識を持って、その担当業務が行われる期間は専属的に研究に従事していること。
- 業務の不可欠性:本人の担当業務や専門知識が、その研究開発を進める上で不可欠であること。
- おおむね1ヶ月以上の従事:従事した期間が、通算して「おおむね1ヶ月(実働20日程度)以上」あること。
- 明確な区分と適正な計算:通常の業務と研究業務の従事状況が明確に区分され、人件費が適正に計算されていること。
【事例で解説】プロジェクトを兼任した3名の人件費の計算例
具体的な研究プロジェクト(期間8ヶ月、月稼働日数20日)の事例をもとに、兼任スタッフの人件費をどのように按分計算するか見ていきましょう。
【事例】設計部のA氏(月給60万円)、生産部のB氏・C氏(月給30万円)が兼任
- 設計開発フェーズ(1〜3月):A氏実働60日、B氏実働20日、C氏従事なし
- 試作フェーズ(4〜6月):A氏実働60日、B氏実働60日、C氏従事なし
- 評価・分析フェーズ(7〜8月):A氏実働30日、B氏従事なし、C氏実働30日(業務の特殊性から断続的に従事)
この場合、それぞれの合計実働日数(1日あたりの単価 × 研究従事日数)に応じて、以下のように人件費の集計を行います。
- A氏(合計150日従事):60万円 ÷ 20日 × 150日 = 450万円
- B氏(合計80日従事):30万円 ÷ 20日 × 80日 = 120万円
- C氏(合計30日従事):30万円 ÷ 20日 × 30日 = 45万円
これらを合計した「615万円」が、今回の研究開発税制における対象人件費の計算イメージとなります。C氏のように、特定のフェーズ(2ヶ月間)において断続的な従事であったとしても、通算の実働が20日以上(事例では30日)あれば、「おおむね1ヶ月以上」という3つ目の要件をクリアして対象に含めることが可能です。
税務調査で指摘されないための二大必須書類
兼任者の人件費を申請する場合、税務調査において最も厳しくチェックされるのは「客観的な証拠(エビデンス)」です。口頭で「この期間は研究に専念させていました」と説明しても、税務署には絶対に認められません。確実な適用のために、以下の書類を必ずリアルタイムで整備・保存しておく必要があります。
・プロジェクト計画書:研究の目的や各フェーズの期間、誰がどの役割でなぜ不可欠なのかを論理的に明記した書類。
・勤務記録(日報やタイムカード):通常業務の時間と研究業務の時間が1日単位、1時間単位で明確に区分されている実績の記録。
トラブル回避のポイント
研究開発税制は、非常に大きな節税メリットがある反面、税務調査での否認リスクが極めて高い項目の一つです。「開発に少しでも関わったから」という安易な理由だけで、兼任者の1年間の給与全額をそのまま試験研究費に計上してしまうような処理は、典型的な否認パターンです。
「4つの要件」を厳密にクリアしているか、また日報などの客観的エビデンスが数式と完全に一致しているかを精査しないまま申告すると、数年後の税務調査で多額の追徴課税(ペナルティ)を受けるトラブルを招きます。投資やプロジェクトを開始する段階から、どのような書類を残すべきかを税理士などの専門家と綿密に打ち合わせ、適正な集計体制を整えておくことが、最大のトラブル回避へとつながります。
東京武蔵野会計のサポート内容
東京武蔵野会計は、クラウド会計やデジタルツールを活用した「正確な業務区分の可視化」と、根拠に基づく高度な税務・財務戦略に強みを持つ会計事務所です。研究開発税制のリスクのない適正な活用を、初期段階からトータルでサポートいたします。
- 貴社のプロジェクト体制に合わせた、兼任者の「専ら」要件の適正な事前判定
- 税務調査に耐えうる「プロジェクト計画書」や「区分勤務記録」の整備・作成アドバイス
- クラウド経理・日報システムを活用した、実働日数に基づく人件費の正確な自動集計フローの構築
- 安心の「書面添付制度」標準採用による、試験研究費の明確な根拠提示と税務調査リスクの徹底低減
- 単なる記帳にとどまらない、新技術・製品開発を財務面から支える安心の伴走型税務顧問サービス
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